ぶんこ

両手の一人差し指を口の両端につっこみ指で広げて”学級文庫”といってごらん。と幼少のころ兄だか友達に言われた。そうすると”学級文庫”とはいえず、”学級〇んこ”と言ってしまう。もう、40年近く忘れていたが今さっき、このブログを書こうと思って文庫という文字を入力したら思い出した。

そう、今日はその文庫に行ってきた。。

行ってきたのは山田文庫というところでとても趣のある外観で以前からこの文庫の前を通ることはあっても、私のようなものが立ち寄っていいものかと躊躇してはや20数年が経ち、今日初めて急に訪問したくなってしまった次第です。なんとものんびりしているが誰しもがいつか寄ってみようと思う場所がいくつかあり、いつもは忘れているのにふと、立ち寄ってみたくなることはあるだろう(かな?)。。昨今は店がコロコロと変わってしまい昨日まではあった店にはシャッターが閉まっている寂しいご時世、今昔も変わらないということは実にありがたく、その文庫の外観を眺めるだけでなんだかほっとするのであった。

外観はレンガの塀が印象的、そのレンガの塀ゆえに少し入るのに気おくれしてしまう、以前はもっとレンガに覆われていたような気がするがそれでも立派な門構えに圧倒されて入りにくかったのは正直なところだ。

どうです?素敵でしょう。

この立派なレンガつくりは一部のみで半分は垣根に覆われじつはそれほど入りにくもない、けど、皮肉?なことにこのレンガつくりがあるからこそ入りたい思うし、入りずらいとも思う、これはこの文庫の立派な顔だな~と。。(見た目はいかついが実はやさしい人みたいな感じ?)

中にはこれまた趣のある建屋があるのです。中に入ってからいただいた資料には平成12年に市の都市景観重要建築物等に指定された煉瓦塀、母屋、茶室、土蔵2棟など由緒ある建物、特にお茶室は明治16年に長野県から移築されたと伝えられ、創建は江戸末期に遡る重要な文化財、他の建物も明治前前期頃のものと考えられている、と記してありました。

創建という言葉もそうだし、”伝えられている”とういう表現を使える建物に気軽?に入ることができるというのは素晴らしい。実は、今日、この山田文庫に寄りたくなってしまったのはそういった背景に魅了されたからだ、最近になってわずかに本を読むようになったが大正時代に書かれた本の内容を垣間見るのに煌びやかな建物で本を借りるよりもよっぽど素敵ではないかと真に思ってしまったのね。。

さて、中に入ってみましょう。横引きのガラス戸をあけ、靴を脱いで上がる。思わず中にいる方に”お邪魔します”と言ってしまうが、個人の私財を投じてつくられたこの私立和風図書館では当然であろう。最初みるとあれ?。。。八畳ほどの広さの部屋に最近の新しいそうな本がなれべてあり、ちょっと予想と違ったかな?と思いキョロキョロしていたら年配の方に初めてですか?と声をかけられた。

「ハイ、初めてです。高校の頃、同級性がこの近くに住んでいて以前から知っていて気になっていたのですが今頃になってお邪魔しようかと思いました」そう小生が話すとその方が、「そうですかもっとたくさんの方に来ていただきたいと思うのですが少しわかりにくいですからね、看板なども設置してみようかなとも考えているのです」と話されて、部屋で事務仕事中の女性の方に小生を案内するように話されていました。(この紳士は多分館長様ですね)         しばらくしてその女性の方が奥の部屋を案内してくださいました、昔の小学校の廊下のような板張りを少しすぎると六畳ほど?の部屋が2つあり、所狭しと本が並べてありました。

素敵です。。。イメージ通りでした。

しかし、寒い。。こちらはストーブの暖気はまったく及びません。。。しかし、奥にはいくつか椅子もあり、暖かい季節になると窓をあけて、ここで本を読まれる方もいますと話を伺い、小生も是非そのお仲間入りをしてみたいと思った次第です。                                        小生は小学校の頃から本を読みたくて借りるなど一度もありませんでしたがさっそく申請し専用のカードを作っていただきました。  借りた本は文庫本ではありますが島崎藤村の家(上)です。〇〇全文集と以前の活字で印刷された茶色帯びた素敵な本が沢山あったのですが2週間という借りることができる期間で読み切る自信はなかったので薄い、小さい文庫で小生には十分です。暖かくなってきたらそれら〇〇全文集はこれから何年もかけて少しずつ、少しずつ気が向いたときだけ、ここで読ませていただければ幸いです。

帰り際に館長様に少しお話をいただきました。   「奥の蔵にはまだたくさんの古い本があります、いずれお見せしましょう。あなたのような”お若い”方ともお話しがしたいので是非また寄ってください、本を読むのでなくてもかまいませんから是非遊びに来てください」。。なんともありがたいお言葉、小生を”お若い”と話してくださるところあたりが、ここに通う方の年齢層が比較的高めであることが伺われます。。

静かな環境でとても素敵です。でも、いただいた資料に書いてありましたが創設者の山田ご夫妻が”子供達と豊かな読書”が子供の”心の成長”に大変重要な役割をもつとの深いご認識のもとこのような私立図書館を創設されたと記述してありました、最初に入った部屋に比較的新しく、やや子供向け?とも思わるような本があったのもそのためかな?と感じました。

下の山田文庫の概要書、表紙の絵と同じ今日、現在の山田文庫風景↑。。。。

詳しくご紹介したいところですが小生のようなものがこの山田文庫にこれ以上のうんちくを語るのは実におこがましいので詳しくはこちら↓

http://www.yamadabunko.or.jp/

この文庫がある道路反対に醤油蔵があり、そこも素敵なたたずまいの建物で煉瓦造りの立派な煙突も素晴らしいです。

実は、市内には最近になってそれそれは立派で近代的な市立図書館ができました。

今日、そこにもよってきました。中央には中庭のような空間があってガラス張りのエレベーターを中央に配し、大きなガラスの天窓を配した6階建の建物で5階のフロア全てに沢山の本がある新しく大きな図書館です。沢山の本がありましたが利用者が多すぎるのかはたまたまだ新しく本が並び切れていないのか棚の本はスカスカで余裕がありすぎ、ちょっと寂しい感じがした。そのフロアの一画に”読めなくなった本達”と題して心無い人たちによって無残な状態となった本が見せしめ?に並べてありました。りっぱなビートルズ写真集ページの一部がご丁寧にもカッターで切り取られていたり、子供の落書きがされていたり、切り裂かれた本、ページの剥ぎ取られた本、。。中には珈琲をこぼしてしまったであろう事故的なものもありましたが明らかに故意にやられたそれら市民、みんなの本達。。。それらをみていたら一聞、静かに思えた図書館の小さなノイズ(受付と話す人、申請をするひとの話声、人があるく音)、堂々と席を占有して居眠りをしてる人、次々と無言で出入りするたくさんの人たち。。。。そこでは当たり前のような風景ではあったが、それにひどく心持ちが悪くなってしまい何も本も借りず、ここにはよほどのことでもない限り足を運ぶことはないだろうと思わされた。。。。

気分が悪くなっていそいそと外にでて。。。。ふと上を見上げたら1羽のトンビが近くを舞っていた。不釣り合いな風景ではあったがそれをみてなぜか少しほっとした。。小生、以前はまったく気にもならなっかったのですがあの文庫のように入るとき、出るとき、あいさつができる空間って素晴らしいなと。。。。