ホワイトチョコ
小学4年の頃だった。
兄貴が北海道へ行ったお土産(自転車で!)にホワイトチョコを買ってきた。
初めてみる白いチョコ。食べてみるとなんとおいしいことか普通のチョコよりも
苦味がなく子供には2倍おいしく感じた。
一気に食べるともったいないので冷蔵庫に入れておいて少しづつ食べていた。
ある日、同級の田中くんに ”俺んち、白いチョコがあるんだぜ!”と自慢した。
田中くんは、なんとも信じてくれなかった。
無理もない。僕だって人から言われたら信じなかったろう、だってそんなの
今まで見たことないんだもの。
”じゃ、家にきてみてよ!、少しあげるから!”
けれど。。。。田中くんに白いチョコを自慢したときにはすでにホワイトチョコの
包装紙はなくなり、中の銀紙に少しだけ包まれている状態だった。
その晩、、田中くんに言ったのも忘れてはいなかったが、目の前にしたホワイト
チョコをみるとどうしても我慢できなくなった。
あ~食べたい、でも、食べたら説明にならない、でも今目の前にある、あ~どうしよう
あ~、なんて考えているうちに残り少ないホワイトチョコは既に口に放りこまれていた。。。
あくる日、田中くんがうちに来た。
”白いチョコみせてよ!”
あ、あ~どうしよう。。。。。。。。あ~どうしよう。。。。。。
僕は、昨日ホワイトチョコを包んでいた銀紙をゴミ箱からあさり、その銀紙を玄関
で待っている田中くんに見せた。
”ごめん、昨日全部食べちゃった!、でもほら、これがその証拠だよ!”
と、ホワイトチョコともなんとも書いていない銀紙を田中くんにみせて無理やり納得
してもらった。。
納得などするハズもないだろう。その時田中くんは必死に弁明する僕をただ見ている
だけだった。。。。。
さっき、ホワイトチョコを食べてふと思い出した40年前の記憶。。。。そういう何十年も前のことをふと思い出して今でもあの時は、申しわけないことをしたと思うことが多々ある。その時、その時なんかの瞬間に。。。
ちなみにこの時、玄関で待っている田中くんを家にも上げず、そのまま返してしまったことが今でも心苦しい。 田中くんは信じていないながらもどんなものだろう、どんな味がするのだろう?と一晩中楽しみにしていたかも知れない、両親に明日、○○くんちで白いチョコを食べるんだ!なんて言っていたかも知れない。
験なき物を思わずは一坏の濁れる酒をのむべくあるらし。。。。。
どうしようもならない過去のことを考えたって仕方ない、そんなことを考えるのなら一杯の安酒を飲んだ方がまだましと、万葉の頃から詠われているけれど、こんなことまで忘れていないようじゃ、1348年前となんら変わっていないじゃないか。